かどや製油工場がある瀬戸内海の小豆島。その島で暮らし、島の魅力を写真で伝える
『小豆島カメラ』のメンバーが小豆島とかどやのごま油のつながりについて写真と文章でお届けします。
連載第5回は、小豆島カメラの坊野美絵が小豆島工場を見学しながら、ごま油の製造工程についてお話を聞きました。
厳重な品質管理と、焙煎、蒸煮、圧搾、ろ過など数ある工程を経て製造されるごま油
今回は小豆島の土庄港近くの海沿いにあるかどや製油の小豆島工場内を見学させてもらうことになりました。ワクワクしながら香ばしいごま油の香りが漂う工場内へといざ進みました。
ごま油の基本的な製造工程は、精選、焙煎、冷却、蒸煮、圧搾、粗ろ過、静置、仕上げろ過、充填という流れだそうです。
まず、最初に案内されたのは、広い倉庫。山積みにされている白い袋はすべてごまです。普段見ることのない大量のごまに圧倒されました...。日本ではごま種子の生産がほとんど行われていないそうで、かどやでは安全で高品質なごま油を製造するために、自社基準で厳選した上質なごまを調達しています。
原料を入れているPP袋が一日に開けられる数量は約3600袋。その一つ一つに厳しいチェックをしていきます。
受入テストをクリアした原料ごまは、精選へと進み、埃やゴミなどを取り除く工程にかけられます。その中から最良の品質のものだけが選別され、商品として製造工程に送ることを許されるそうです。
ごまを精選する工程
つづいて、ごまの焙煎工程へ。工場内がもわっとした熱気に包まれていました。ごまの焙煎機は二重ガマ構造で直火ではなく筒状の空間に熱風を送りごまを焙煎していきます。焙煎温度を高くしすぎると香ばしさや苦みが出やすくなり、低くするとナッツ様の香りや甘みが強くなるなど、焙煎温度の調整でごま油の風味は微妙に変化します。その時の気候や、ごまの状態によっても温度設定を変えるそうです。わずか2~3mm程度のごまをいい塩梅で焙煎するとても繊細な作業!
ごまの焙煎機
焙煎・冷却されたごまは、「ケトル」と呼ばれる窯で均一に蒸気をかけ蒸煮します。焙煎するのは想像できたけれど、蒸煮していたとは想像していませんでした。蒸煮することで油が搾りやすく、風味がまろやかになるのだとか。蒸煮されたごまは圧搾機で圧力を加え、ゆっくりごま油を搾り出します。搾り出されたごま油には、ごまの皮などの固形物が残っているのでろ過機で取り除きます。
静置タンク
その後、タンクに静置しておくことで、油に溶け込んでいる成分を析出、沈降・分離させます。
ごま油のろ過機
次に、ろ過機が何台も並ぶ場所へと案内され、つづら折りのようになった機械からごま油が滴り落ちていくのが見えました。静置工程を経たごま油をさらに仕上げろ過をすることで透明感のある琥珀色のごま油に仕上げるのです。最終の品質検査を行った後、充填ラインで容器詰め、梱包します。
そうして厳重な品質・安全管理を終えて完成したごま油はいよいよ、日本中、世界中の食卓のもとへと向かっていきます。
家庭で蓋を開ければすぐに使えるごま油の背景には、精密で時間のかかった工程があったんですね。
近くに住んでいるけれど、かどや製油の工場でこんな製造が行われていることを全然知りませんでした。
かどやのごま油でカンタン!焼肉のタレづくり
我が家の台所にもかどやのごま油が常備され、年中活躍しています。日々、料理のあらゆる場面でごま油を使っていますが、今回は私が好きなごま油の使い方を一品ご紹介します。
ずばり、それは焼肉のタレです!
醤油、料理酒、みりん、ごま油、おろしたニンニクと生姜、いりごまを混ぜ合わせれば完成。簡単にフレッシュな焼肉のタレができちゃいます。私はニンニクの香りが気になるので、さっとフライパンで一煮立ちさせて使っています。小豆島には醤油屋がたくさんあるので、醤油屋ごとの醤油を使って味比べをしたり。はちみつやレモン果汁を加えるなど、配合によっても変わる風味を楽しんでいます。作り置きしておけば、後日、野菜炒めなどに使っても美味しい。シンプルだけど特別な一品で食事の時間が華やぎますよ。
今回、かどやのごま油の製造現場を見たり、そこで働く人とお話したりできたことで、ごま油の味わいにより奥行きが感じられるようになった気がします。
まだまだごま油を使っていろんな料理にチャレンジしたいな。
坊野 美絵 Mie Bono
大阪生まれ。2013年に香川県小豆島に移住。文と写真で魅力を伝えることを大切にライターとして活動中。香川県を中心に観光・医療・事業承継・農業などテーマはさまざまに取材記事を書いています。
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写真・文/坊野 美絵(小豆島カメラ)
ごまの香りを堪能したいです(¯‥¯)クンクン
安全な管理の下で作られ安心していただけます。