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連載第1回「ごま油が『青春の香り』〜小豆島とかどや製油の切っても切れない関係〜」

連載第1回「ごま油が『青春の香り』〜小豆島とかどや製油の切っても切れない関係〜」

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みなさん、はじめまして、『小豆島カメラ』です!

小豆島カメラは、瀬戸内海に浮かぶ島『小豆島』に暮らす7人のメンバーで活動しています。日々の暮らしの中で出会う美しい風景や人々、そして多彩な食材や美味しい料理を撮影し、その写真を通じて小豆島の魅力を広く発信する「地域×カメラ」のプロジェクトを展開しています。2013年結成以来、カメラメーカーのオリンパス(現:OMデジタルソリューションズ)、写真雑誌「PHaT PHOTO」の出版社であるシー・エム・エス、そして写真家のMOTOKOさんの協力を得ながら活動を進めてきました。
 
ごまラボでの連載「小豆島カメラ× かどや製油」でも、私たちの視点で小豆島の魅力をお伝えできればと思います。今回は、メンバー古川がお届けいたします。
 

小豆島そうめんに欠かせない『ごま油』


6月3、4日に小豆島で「そうめんサミット」が開催されました。
小豆島そうめんは、日本三大そうめんのひとつです。
島内にはたくさんの製麺所があり、晴れた日には天日干しをしている光景にも出会います。
 
小豆島は、空気の澄んだ瀬戸内海からの寒風が吹き、雨が少ないので天日干しに適しています。

小豆島そうめんの特徴は、麺を延ばすときに麺と麺がくっつかないように「ごま油」を使用していることです。他の産地で使用している綿実油に比べると酸化しにくく、麺が劣化しにくくなります。

今回のそうめんサミットでは「日本三大そうめん食べ比べ」も行われていたので、播州、三輪、小豆島のそうめんを食べ比べました。麺の太さやコシの違いも感じましたが、一番印象的だったのは、小豆島そうめんの風味がいいことです。小豆島生まれの私は物心ついた時から、小豆島そうめんを食べていたので、そうめんを口に入れたときにフワッと感じる風味があたりまえだと思っていたのですが、それはごま油を使う小豆島そうめん独特の風味でした。
 
オリーブ公園で流しそうめんを楽しむ「そうめんサミット」参加者の様子(写真提供:そうめんサミット実行委員会)
 

ごま油の香りと思い出


小豆島出身の人で、ごま油の香りで島の港の風景を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。かどやのごま油工場は、土庄港のすぐ近くにあるので、製造時の風向きによって、土庄港周辺はごま油の香りに包まれます。子どもの頃からその香りに慣れ親しんでいるので、島を離れて暮らしているときに、記憶が蘇ってきます。
私は高校3年間、土庄港から船で通学していました。食べ盛りの私にとって、ごま油の香りは食欲を刺激して大変でした。

香り(嗅覚)は、人間の五感の中で唯一、大脳辺縁系に直接働きかけます。そして大脳辺縁系の中には記憶を司る「海馬(かいば)」があります。そのため香りの記憶は鮮烈に残りやすく、香りを嗅ぐとほぼ同時に、昔の記憶や、喜怒哀楽の感情までもが呼び起こされるのだそうです。
 
土庄港には瀬戸内国際芸術祭の作品もあり、行き交う船とアート作品とごま油工場を一緒に見て楽しめます。

ごま油が『青春の香り』というのは、食いしん坊みたいで恥ずかしいですが、島人のネタとしてはパンチがありますよね。
私は県外で暮らしている時に、友人がごま油を使っているのを見かけたら「そのごま油、うちの島で作っとんで。」と言って、自分が製造しているわけでも無いのに自慢したりしていました。
 

多様な魅力が詰まった小豆島


小豆島には、ごま油や素麺の他にも、醤油、佃煮、石材などの産業、柑橘や野菜、魚介類など島の自然に育まれてきた豊かな食文化があります。
また、仕事帰りに美しい夕陽を見たり、廃校になった小学校の浜に鯉のぼりをあげたりと日常の中に絶景があります。
農村歌舞伎や虫送り、とんど、秋の太鼓祭りなど受け継がれてきた伝統文化もあります。
 
4月〜5月上旬、旧戸形小学校の隣の浜にこいのぼりが飾られます。校庭は地元の人の憩いの場でもあります。
 
虫送りは、竹の松明を田にかざしながら、畦道を歩き、害虫を退治して豊作を願う伝統行事です。

私たちの目標は、「見たい、食べたい、会いたい。小豆島に行きたい!」と思ってもらえるような写真を撮ることです。そのために、小豆島を観光地としてでなく、実際に暮らす場所としての魅力も伝えていきたいと考えています。小豆島での生活の豊かさや楽しさを伝えることで、小豆島のファンや将来的に島で暮らしたいと思ってくれる人々を増やすことも目標です。

島の食材を美味しく料理するシェフ、昔ながらの製法を守る職人、いつも笑顔で迎えてくれる食堂のおばちゃん、海遊びを真剣に楽しむ人、新しくゲストハウスをオープンする人など面白い人たちもたくさんいます。 
魅力を書き出すときりがありません・・・島という限られた場所に、こんなに多様な魅力があることが小豆島の最大の魅力だと思います。
 

古川 絵里子 Eriko Furukawa
小豆島生まれ、小豆島育ち。
阿蘇、清里、八ヶ岳、上高地と豊かな自然に囲まれた場所での生活を楽しみつつインタープリターとして働いたのち、2008年小豆島に戻る。のんびりカメラを持って歩くことで出会えるものや広がる世界があると感じている。
Web Site: 島好きインタープリター
 
 
写真・文/古川 絵里子(小豆島カメラ)

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