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第4回 小豆島に暮らす“お母さん”直伝!ごま油を使った香川の家庭料理「まんばのけんちゃん」

第4回 小豆島に暮らす“お母さん”直伝!ごま油を使った香川の家庭料理「まんばのけんちゃん」

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かどや製油工場がある瀬戸内海の小豆島。その島で暮らし、島の魅力を写真で伝える「小豆島カメラ」のメンバーが小豆島とかどやのごま油のつながりについて写真と文章でお届けします。

連載第4回は、小豆島カメラの三村ひかりが、島のお宅にお邪魔して、ごま油を使った香川の料理を教えてもらってきました。
 

家の畑で育てた野菜を収穫して台所へ


小豆島のまんなかあたりに、肥土山(ひとやま)という農村集落があります。
山に囲まれた集落で、田んぼや畑が広がっています。
江戸時代から300年以上も「農村歌舞伎」や「虫送り」などの農村の伝統行事が続いており、今でも自分の家族が食べるためのお米や野菜を育てている人が多くいます。
 
 
夏至 から数えて11日目の7月2日頃、半夏生(はんげしょう)の日に、肥土山の伝統行事「虫送り」が行われます。火手(ほて)と呼ばれる松明(たいまつ)に火を灯し、田んぼの畦道を歩いて、虫を海まで送り、豊作を祈願する農村の行事。

私は2012年にこの集落に家族で引っ越してきました。
夫の祖父の家と畑が残っていて、その家を直して暮らしています。
この場所で暮らし始めてから、畑で野菜を育てるようになり、その季節に収穫した野菜の料理を楽しむように。
地元のお米で味噌を仕込んだり、梅を収穫して梅干しにしたり、ぬか床を育てて野菜を漬けたり、つくれるものはなるべく自分の手でつくるようになりました。

そんな暮らしの先生が私の身近にはたくさんいます。
島で暮らすお母さんたちです!
 
ご近所さんちの畑。いろんな種類の野菜が育てられているとっても美しい畑
 
ある日、ご近所さんちへ伺うと、お母さんが家のすぐ隣りにある畑で作業をしていました。
水やりをしたり、傷んだ葉を落としたり、収穫をしたり、一年中、畑ではやることがいっぱい。
大変だけれども、「お日さんを背中に浴びてたら温かくて気持ちえいわ〜。」と畑で過ごす時間をとても愛おしんでいました。

ごま油を使った料理の話をしていると、香川県でよく育てられている「まんば」と呼ばれる野菜を収穫して一品つくってくれることに。
おいしそうな葉を選んでさっと収穫、そのまま台所へ。
わー、うれしい。
 

ごま油でつくる「まんばのけんちゃん」


「まんば」というのは高菜の一種で、大きな葉っぱを何枚もつける野菜です。
大きく育っていく葉っぱを順番に収穫していくので、長い期間収穫できます。

今回つくっていただいたのは「まんばのけんちゃん」
けんちゃんというのは、野菜を豆腐や油揚げと一緒に炒め煮にした料理のこと。
香川では、冬の家庭料理として昔から親しまれてきました。
 
畑から収穫したばかりのまんばを洗います
 
収穫したばかりのまんばはアクがほとんどないので、アク抜きせずに2cm幅くらいに切ってそのまま炒めます。
気になる方は、茹でてアク抜きしてから切ります。

「わたしはごま油の香りが大好き。ごま油で炒めるといい香りがするでしょ〜。」

と、鍋にまんばを入れて、ごま油をまわしかけて炒めていきます。
 
かどやのごま油をまわしかけて炒めるといい香りがたってきます

そこに軽く水切りした豆腐、短冊きりにした油揚げを入れます。
豆腐をくずしながら炒め、だし汁を入れ、醤油、みりんなどで味をととのえ、5〜10分ほど炒め煮してできあがり。
 
さっきまで畑で育っていたまんばが、お鍋の中でおいしい料理に

インターネットで調べると、他の油を使って炒めることもあるようですが、ごま油を使って炒めるのが小豆島ならではのまんばのけんちゃん。
 

畑にも台所にもかどやのごま油


「わたしが子どもの頃から、お母さんがごま油を使った料理をつくってくれとったよ〜。一斗缶に入ったごま油を、赤穂屋(あこや)の交差点にあったお店(かどや創業の地)に買いに行ってなぁ。」

昔は、今のような家庭用のコンパクトサイズのごま油を売られておらず、大きな缶に入って売られていたそう。
まちの中にかどやさんがあって、そこにごま油を買いにいって、料理に使っていたというのが今から半世紀前の小豆島の風景。

さらに、昔はごま油を搾った後の栄養を豊富に含んだ搾りかすも販売されていたそうで、それも買いにいって畑で肥料としてつかっていたそう。
畑から台所までかどやさん。
小豆島ならではのお話を聞けて嬉しくもあり、かどやさんが昔から小豆島の方々に親しまれて育ってきたことが伺えます。
今では搾りかすの一般販売はなくなってしまいましたが、時代が変わっていく中で、きっとまた新しいつながり方が生まれていくんでしょうね。
 
ごま油香るまんばのけんちゃん、いただきます
 

今日もご近所さんちの台所からはごま油の香りがするかな。


 

三村 ひかり Hikari Mimura
1979年愛知県生まれ。名古屋大学および同大学大学院で建築学を専攻。地図制作会社を経てIT企業勤務。 2012年に家族で小豆島に移住後、夫とともにオーガニック農園『HOMEMAKERS』を設立し、野菜の栽培と週1日カフェを開く。2013年小豆島に在住の女性7人とともに、島の暮らしを発信するチーム『小豆島カメラ』を立ち上げる。現在マガジンハウスのウェブマガジン「コロカル」にて「小豆島日記」を連載中。
Web Site: HOMEMAKERS Farm & Cafe
写真・文/三村 ひかり(小豆島カメラ)


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